名侦探集柯南全
隣の母が俯いて嗚咽を漏らした
名侦妻は顔を覆って病室を飛び出していた
名侦誰も僕の苦しみを分かっちゃいない
名侦だったら治療はもういい
名侦楽に死なせてくれ
名侦黙っていた父が静かに口を開いた
名侦お前はそんな気持ちのまま
名侦この世を去りたいのか
名侦今度は僕が黙った
名侦自分自身の感情が
名侦コントロール出来ない
名侦高額な医療費は両親が払ってくれている
名侦今まで散々面倒をかけてきたのに
名侦その恩返しどころか
名侦八つ当たりまでしている自分が情けない
名侦両親が帰った後に誰にも知られないように
名侦布団を被って泣いた
名侦その様子を見て横に座っている妻が泣いていることも
名侦気配で分かった
名侦本来なら僕たちは共働きの予定だったが
名侦少しでも僕に付き添いたいという妻は
名侦職場を辞め毎日病院に通ってきた
名侦その妻の心遣いさえも
名侦僕は受け止め切れていない
名侦僕は世界一の親不孝者で世界一の駄目な夫だ
名侦でも僕には今すべき事が分からない
名侦ただじっと死を待つだけの人間に
名侦一体何が出来るのか
名侦そう思うことに
名侦僕は段々と無気力で無感情の人間になっていた
名侦05何気にテレビのニュース番組を見ている時のことだった
名侦なにげに
名侦〔若者用語〕=>なにげなく年間の自殺者の数が三万人に上ると
名侦アナウンサーが伝えていた
名侦なぜ皆自ら死を選ぶのかな
名侦僕は生きたくても死ぬのに
名侦ボソッと呟いた僕の言葉を聞いて
名侦妻が目頭を押さえた
名侦彼女は余計な事は言わずに
名侦ただ僕を少しでも支えたい一心で
名侦いつもそばに居てくれる
名侦そんな彼女が本当に可哀想に思えて仕方なかった
名侦こんな僕のためにという思いがこみ上げてきた
名侦ごめんね
名侦妻はえぇというような顔で僕を見た
名侦君は僕と一緒にさえならなければ
名侦こんな思いはしなくて済んだのに
名侦(ため息)
名侦僕が居なくなったら
名侦誰かいい人を見つけて幸せになってくれ
名侦妻の顔つきが変わった
名侦今までに聞いたことの無い口調で
名侦捲し立てたなぜそんなことを言うの
名侦私はあなたと結婚して後悔なんかしていない
名侦初めて会った時から大好きだった
名侦付き合ってきた六年間は楽しい思い出ばっかりで
名侦結婚出来て本当に幸せだと思っているのに
名侦私の家族はあなたとあなたの両親だけなのに
名侦そこまで言って彼女は声を詰まらせた
名侦そして僕の胸に覆いかぶさると
名侦振り絞るような声で
名侦死なないと言って大泣きした
名侦その震える妻の両肩をそっと抱き締め
名侦僕も声を上げて泣いた
名侦妻の心の叫びを聞いた想いだった
名侦妻は両親を亡くして
名侦ずっと一人で生きてきた
名侦そして僕と結婚し
名侦新しい家族が出来たことを心から喜んでいた
名侦併し僕はこれ以上どうしていいか分からず
名侦何も言うことは出来なかった
名侦06治療の成果が上がっているのかどうか
名侦僕にはよく分からないが
名侦時々気分のいい日も有った
名侦そんな時は病院内や庭を散歩する
名侦散歩と言ってももう僕の足は動かず
名侦車椅子に乗ってだったが
名侦そんなある日院内の廊下で
名侦同じく車椅子に乗った少年に擦違い様にぶつかった
名侦僕はぼんやりとして前を見ていなかったからで
名侦少年の方が倒れてしまった
名侦母らしき人がそばに居たが
名侦ちょっと目を離した隙の出来事だったらしく
名侦慌てて駆け下り少年を抱き起こした
名侦ごめんなさい僕の不注意で
名侦君大丈夫
名侦少年はい立って元気な声で
名侦大丈夫だよでもおじちゃん
名侦今度からは気をつけてねと言った
名侦ごめんごめん
名侦今度からは気をつけるよ
名侦でも僕はまだおじちゃんじゃないぞ
名侦お兄ちゃんだ
名侦冗談まじりに言うと
名侦その少年は僕をまじまじと見ながら
名侦僕から見ればやっぱりおじちゃんだ
名侦と言ってけらけら笑った
名侦聞けばまだ小学校五年生だという
名侦その場は母親にも謝って分かれたが
名侦少年とは院内で度々出会って
名侦少しずつ話するようになった
名侦病室は離れていたが同じ病棟だったため
名侦彼も癌を患っている事は容易に分かった
名侦併しあえてそれは口に出さず
名侦僕は普通に会話することに努めた
名侦少年が自分の病気を知らされているかどうか
名侦分からなかったし
名侦彼がいつでも元気に振舞っている事に
名侦僕も勇気付けられていたからだ
名侦その度に自分を振り返って
名侦大人の癖に情けないと反省もした
名侦ある時少年がもうすぐ退院して
名侦家に帰れるんだと言った
名侦それは良かったなぁ
名侦じゃ学校にも戻って友達とも一杯遊べるね
名侦僕の言葉に少年は嬉しそうにうんと頷いた
名侦その代わり勉強も一杯しなくちゃいけないぞ
名侦少年はそんなの当たり前じゃん
名侦僕勉強好きだからと言って
名侦得意げに鼻をふんと鳴らした
名侦その
名侦仕草が妙に好笑しくて笑うと
名侦少年もつられて笑った
名侦ふいに少年がおじちゃんは何時帰れるの
名侦と聞いてきた
名侦内心ドキッとしたが努めて明るく振舞った
名侦まだ分からないんだけどね
名侦そんな先じゃないと思うんだ
名侦そうだお互いに退院したら一緒に遊ぼうか
名侦少年は本当約束だよと言って
名侦指切りを求めてきた
名侦指切り
名侦げんまん嘘ついたら
名侦針千本の~ます
名侦指切りして僕たちは一頻り笑った
名侦その様子を見て妻が微笑んでいるのが見えた
名侦久しぶりに僕の笑顔を見て
名侦彼女も喜んでいるようだった
名侦少年の母親も笑みを浮かべていた
名侦それからは互いの病室に時々遊びにも行くようになった
名侦 気休めはよしてくれ
どうせ僕は死ぬんだ!探柯
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沪江部落-日语随心听小组讨论交流。南全
04さっそく治療が始まった
放射線療法に加え抗癌剤が投与される
話には利いていたが
この抗癌剤の副作用が
人間にどれほど苦痛を与えるものかも初めて知った
動悸が激しくなり手足が痺れ始める
腹痛に始まって
時間を置いて襲ってくる全身を切り刻むような痛み
吐き気がひどく嘔吐を繰り返し
ひどい下痢症状も起こす
苦痛に耐えかねて何度もナースコールを鳴らす
今度は
モルヒネが投与される
モルヒネは麻薬の一種だ
確かに痛みが和らぐが常にボーっとして
自分が眠っているのか起きているのかさえ
はっきりしない
周りから見たらおそらく廃人にでもなったかのように
見えるに違いない
意識がはっきりしている時は
死ぬことへの恐怖が襲ってきて
震えが止まらない
抗癌剤の副作用で髪がばっさり抜け落ちた時には
思わず悲鳴を上げた
そんな僕を家族はただ見守ることしか出来ない
見舞いに来た父が居た
頑張るんだ
神様はお前を見放したりはしない
その父親に見舞いの花を投げ付けた
神様なんかいるもんか!名侦
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